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リハニュース臨時号

2005年12月9日

  1. 「運動器リハ」研修会へのリハ医学会の対応について! ― 診療報酬改定案と「運動器リハ」に関する研修会を巡る経過 ―

    日本整形外科学会広報室ニュース63号と日本リハビリテーション医学会の抗議文について

    資料1 日本整形外科学会広報室ニュース63号

    資料2 日本リハビリテーション医学会の抗議文

    いわゆる「運動器リハ」の研修会に対するリハ医学会の態度

    この間の経緯

  2. 広報委員会より

「運動器リハ」研修会へのリハ医学会の対応について!
― 診療報酬改定案と「運動器リハ」に関する研修会を巡る経過 ―

日本整形外科学会広報室ニュース63号と日本リハビリテーション医学会の抗議文について

◆日整会広報室ニュース63号の記事(資料1

 平成17年10月15日付け「日整会広報室ニュース」に、日本運動器リハビリテーション学会* 岩谷 力理事長名で「運動器リハビリテーション研修制度について」と題する記事が掲載された。
 その内容によると、厚生労働省において、平成18年度の診療報酬改定が検討されている最中、「おりしも診療報酬点数におけるリハビリテーションが疾患、重症度を組み込んだ枠組みに組み替えられる情勢にあり、運動器リハビリテーションが高度な専門性を確立する時期に達している・・・・」として、「運動器疾患の治療に携わる医師の技量を高めて社会の要請に応えるために、日本整形外科学会と日本リハビリテーション医学会のどちらからもアクセスできる研修制度を、日本運動器リハビリテーション学会が整備する・・・・ことについて、4学会(日整会、リハ医学会、臨床整形外科医会、運動器リハ学会)代表者の間で基本的合意に達した」とあり、関係者をはじめ多くの会員に混乱が生じた。

◆日整会広報室ニュースに対する抗議文(資料2

 リハ医学会は、この件について緊急の会合をもち、11月7日付けで、日整会、臨床整形外科医会、運動器リハ学会に対して抗議文を送付した。そのなかで、広報室ニュ-ス63号の記事には事実無根の内容が書かれているばかりか、一団体(運動器リハ学会)への利益誘導の意図性のあることを指摘し、遺憾の意を表するとともに速やかな対応を依頼した。

*日本運動器リハビリテーション学会

  1. 平成16年10月:日本理学診療医学会 →「日本運動器リハビリテーション学会」に名称変更
  2. 学会・研究会設立:1988年(昭和63年)
  3. 文部科学省:未登録/法人格:なし
  4. 日本医学会:未加盟/日本専門医認定制機構:未加盟/専門医制度:なし
いわゆる「運動器リハ」の研修会に対するリハ医学会の態度
  1. 平成18年1月に実施する予定の「運動器リハ」の研修会は、骨・関節疾患や障害のリハビリテーションに関わる医師のレベルアップを図るために、日整会とリハ医学会が主催、臨床整形外科医会と運動器リハ学会が共催して開催する。
  2. この研修会は、平成18年度の診療報酬改定問題とは直接リンクしていない。
  3. したがって、そのために受講する必要はないし、運動器リハ学会に入会する必要もない。
  4. 当面、専門医資格が診療報酬に反映される見通しはない。
  5. 運動器疾患に対するリハの研修会が診療報酬との関係で必要になった場合には、日整会との共催、あるいはリハ医学会単独での開催を具体化する。

訂正文:
「リハニュース臨時号」掲載の「いわゆる「運動器リハ」の研修会に対するリハ医学会の態度」記事中,誤って「臨床整形外科医会」を「臨床整形外科学会」と記載致しました。訂正してお詫び申し上げます。
(日本リハビリテーション医学会) 

この間の経緯

◆ 8月下旬:日整会理事長から「診療報酬改定に係る関係団体との連絡会」への参加要請あり
(参加団体:日整会、リハ医学会、臨床整形外科医会、運動器リハ学会)

◆ 9月11日:日整会主催「診療報酬改定に係る関係団体との連絡会」へ参加
リハ医学会からの出席者:江藤理事長、石神常任理事、赤居社保担当理事 

  1. 平成18年度の診療報酬改定に際して「運動器リハ」の施設基準が認められた。
  2. その実施に当たり、「理学療法士又は作業療法士とともに、関連学会の行う技能認定資格を有する看護師、あん摩マッサージ指圧師等が個別療法を行った場合について単位が算定できる」となっているため、彼らに対して至急技能認定資格のための講習会や研修会を企画開催する必要がある。
  3. 施設基準緩和に関連して、「専ら運動器リハに従事する常勤医師が居る場合に点数が算定できることとする」となっているため、従事する医師の質を向上させるための研修会を開催する必要があると、日整会から説明と協力要請を受けた。
  4. リハ医学会としては、診療報酬体系は厚労省が決めることであるが、そうした内容が確定しているなら、医師のリハビリテーションに関する技術と知識を向上させること自体は望ましいことであり、日整会の主催する研修会に協力することを伝えた。

◆ 10月14日:厚労省医療課でのヒアリング

  1. 「運動器リハ」の項目立てについては、リハ医学会を含む関連学術団体の合意事項とされていた。
  2. 平成18年度診療報酬改定案として検討中の、「総合リハ施設を廃止し、脳血管障害等リハ、運動器リハ、呼吸器リハ、心臓大血管リハの各施設を並置するという診療報酬改定案は、未だ厚労省医療課内の「たたき台」の段階にあることを告げられた。

◆ 10月15日:日整会広報室ニュース63号発行  

◆ 10月27日:厚労省保険局医療課長との面談
診療報酬の枠組みとして「運動器リハ施設」の項目立てを行うことに関して、リハ医学会は日整会などと討議して合意したことはないと伝えた。  

◆ 10月28日:江藤理事長から日整会理事長へのメール  

  1. 9月11日の、日整会主催「診療報酬改定に係る関係団体との連絡会」では、すでに診療報酬の施設基準に関する枠組みとして「運動器リハ施設」の項目立てが確定しているものとして、講習会や研修会の開催に向けて協力することを了解したが、その前提条件である「運動器リハ」に関する項目立ての可否については合意していないことを厚労省医療課長に伝えた旨、報告した。
  2. 10月15日付の日整会広報室ニュースに掲載された記事の内容は遺憾である旨を伝えた。

◆ 11月7日:10月15日付け日整会広報室ニュースに対する抗議文の送付  

◆ 10月14日~11月7日:日整会との話し合いで合意した事項
いわゆる「運動器リハ」の概念は、「総合リハ」に含まれる一つの領域として位置づけられる。
「運動器リハ施設」の設定に当たっては、現行の「総合リハ施設」を存続させることが必要である。  

◆ 11月25日:厚生労働省医療課へ要望書を提出
「骨関節疾患等を対象とした運動器リハ施設の設定に当たっては、現行の総合リハ施設を残し、その中に脳血管障害等リハ、運動器リハ、呼吸器リハなどの施設を位置づけるべきであると要望
→ 厚労省医療課は要望内容を理解された。  

広報委員会より

 大規模な診療報酬改定が進行中である今日、「運動器リハ」に関する研修会が行われるという話が出回り、それが診療報酬に反映されるような話題であったため、本医学会員の皆さまの中には色々なご心配をなさった方がいらっしゃると思います。

 本ニュースは、この問題に対する本医学会の対応とその基本的態度を会員の皆さまに早急にお伝えする目的で発行いたしました。

 理事会は、この数か月、この研修会や診療報酬改定に関連した問題を解決すべく多面的に行動して参りましたし、現在も行動中です。研修会については、ニュースの最初に明記しましたように、本医学会員、特に、専門医・認定臨床医の先生方におかれましては、参加しなければならない特別な理由はございません。また、もし今後、診療報酬上このような研修会が何らかの効力をもつようになった場合には、速やかに本医学会主催による研修会を開催する予定ですので、全く慌てる必要はございません。

 リハニュースでは、今後も適時、的確な情報をお伝えしてまいりますので、よろしくお願いします。 (才藤栄一)