<2003(平成15)年度 日本リハビリテーション医学会論文賞 受賞者紹介>

最優秀賞 森 信芳 氏


最優秀賞対象論文森 信芳、後藤葉子、黒澤 一、松本香好美、吉田一徳、南 尚義、金澤雅之、上月正博:脳死肺移植術前後のリハビリテーション:本邦第一例を含む連続4症例での検討。リハ医学 2003; 40: 293-301

 このたびは日本リハビリテーション医学会論文賞「最優秀賞」をいただき大変光栄に思っています。1997年、臓器移植法の国会での可決、成立後、2000年3月に日本で初めての脳死肺移植が、大阪大学と東北大学で無事行われ、以後東北大学では合計6例(2004年7月6日現在)の脳死肺移植が行われています。移植前の重度の呼吸不全状態でも、心肺機能に注意を払いながらのリハビリテーションにより、運動耐容能の改善がみられることがわかりました。また、移植後には時間はかかりますが運動耐容能は改善し、健常人と同じまでにはいたらないにしてもQOLの改善が得られることもわかりました。本邦初の脳死肺移植からようやく4年が過ぎましたが、ドナー管理の向上といった医学的な要因と、意思表示カードの普及により、より多くの患者さんが重度の呼吸不全による運動機能の低下および日常生活動作の縮小、QOLの低下から開放されることを望みます。最後になりましたが当科の上月教授をはじめとする大学スタッフの心暖かいご支援・ご指導に厚くお礼申し上げます。

略歴:1997年弘前大学医学部卒業、同年岩手県立胆沢病院内科研修医、2000年東北大学大学院医学系研究科機能医科学講座内部障害学分野博士課程入学。
(リハニュース22号:2004年7月15日)