奨励賞対象論文 ◎
佐古めぐみ:阻血による片側下肢の神経遮断が立位姿勢制御に与える影響。リハ医学2003; 40: 537-545
このたびは、身にあまる賞をいただきまして、学会員の皆様方に改めて感謝の意を述べたいと存じます。論文作成に際しましては、千野直一先生、長谷公隆先生の御指導なくしては、完成しなかったものです。本当にありがとうございました。
この論文は、リハビリテーション医なら誰もが関心のある「立位」と感覚障害に関する研究です。阻血による神経遮断後の立位姿勢の再構築について、健常人での運動学的解析を試みました。実際に障害によって受けた変化が、どのように姿勢や動作に影響を及ぼすのか、その再構築にはどんな機序が働いているのか、リハビリテーションはどのように行うのが最も有効なのか、今後も少しずつ解きほぐしていかなければいけないテーマだと思います。実験でボランティアをしてくれた方々は、感覚障害の不安感、動作の困難を体験し、「感覚障害の患者の気持ちが少しわかった」と言っていました。これからも、患者の気持ちに耳を傾けながら、より良いリハビリテーション治療を提供できるよう精一杯精進していきたいものと存じます。今後ともご指導の程よろしくお願い申し上げます。
略歴:1994年札幌医科大学卒業、同大学整形外科教室入局、1995年慶應義塾大学リハビリテーション科入局、2001年北海道肢体不自由児総合療育センター勤務、2002年札幌医科大学リハビリテーション部助手。現在は、育児のため休んでいます。