◎最優秀賞受賞論文:
渡邉 修、安保雅博、菊池吉晃、妹尾淳史、来間弘展、宮野佐年、米本恭三:手指対立運動に関するペーシング音の影響―機能的MRIによる前補足運動野および補足運動野の賦活について―。リハ医学 2004; 41: 472-478
このたびは、このような名誉ある賞をいただきありがとうございました。学会理事会、各委員会、会員の先生方に厚くお礼申し上げます。
以前より、聴覚的手がかりによって補足運動野の賦活が低下することは知られており、この点が、パーキンソン病のリハに利用される外的手がかりの科学的説明になっておりました。このたびの研究は、この点を再確認すると同時に、補足運動野の賦活部位を近年の機能解剖学の視点からさらに、前方部分(前補足運動野:pre-SMA)と後方部分(補足運動野:SMA proper)に細分し検討することに主眼をおいたものでした。その結果、より選択性、応用性の高い課題では、前頭前野に近いpre-SMAが賦活しやすいと推測され、一方、リハ医学で重視される手がかりとしての環境要因は、補足運動野の賦活を要しなくても、あるいは補足運動野が損傷されている症例でも随意運動を促通できるのではないかと結論いたしました。
今後は、さらにさまざまな環境要因の相違、リハアプローチの相違がどのように随意運動に影響するのかという点に着目して研究を進めたいと考えています。
略歴:1985年浜松医科大学医学部卒業、1991年日本脳神経外科学会専門医、1993年東京慈恵会医科大学リハビリテーション科教室入局、1995年スウェーデンカロリンスカ病院臨床神経生理学部門勤務、1997年医学博士、1999年日本リハビリテーション医学会専門医、2002年より現職。
(リハニュース26号:2005年7月15日)