◎優秀賞受賞論文:
新藤恵一郎、辻 哲也、正門由久、長谷公隆、木村彰男、千野直一:書痙患者の書字評価―簡易な筆圧計による筆圧分析の有用性についての検討―。リハ医学 2004; 41: 296-301
このたびは、このような名誉ある賞をいただき誠に光栄に思っております。ご指導いただきました慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室の千野直一名誉教授をはじめとする諸先生方ならびに測定にご協力いただいた作業療法室のスタッフの方々に深くお礼申し上げます。
この論文は、書痙患者の書字評価に関する研究です。書痙は、局所性ジストニアと認識されるようになり、リハ科を受診する機会が増えています。その書字については、書字動作時に起こる筋緊張異常によって筆圧が高くなると報告されていましたが、必ずしも筆圧が高くない症例を経験したため、簡易な書字評価を新たに検討しました。健常人との比較の結果、筆圧変動の指標(変動値=拙劣さ)が、筆圧そのものよりも、書痙患者の書字の特徴的なパラメーターであることがわかり、筆圧が高くない症例でも有用でした。今後は、そのような指標を用いて、臨床分類、重症度や治療効果の判定(反復経頭蓋磁気刺激の効果について2004年9月に短報を報告)などに応用していきたいと考えております。
略歴:1999年慶應義塾大学医学部卒業、同リハビリテーション医学教室臨床研修医、2002年川崎市立川崎病院、2003年国立療養所村山病院、2004年東北大学大学院医学系研究科肢体不自由学分野助手(現職)、2005年日本リハビリテーション医学会専門医。
(リハニュース26号:2005年7月15日)