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医学におけるリハ医学の役割
リハ医学の本質は機能医科学である。しかるに、19世紀末ウィルヒョー(1821-1902年)による細胞病理学の樹立とともに、医学モデル(病因−病理−発現)に基づく診断、治療の医療行為が本流となって現在に至っている。■20世紀40年代以降、病理が治癒したのちも残存する機能障害、慢性進行性の疾病における病理と機能障害の併存が医療の課題として浮上してきた。機能障害の回復と機能的制限(日常生活活動)の再建をめざすリハ医学が萌芽し、発展してきた。 ■リハ科専門医はリハ医療の第一人者を自認せんとしてきた。しかし、学問進歩の常として、歴史は専門分化と統合を繰り返してきた。医療の専門分化は避けられない。病理医科学と機能医科学の成果が一元的に提供される医療が、臓器別、疾病別の診療科において遂 行された時の成果は期待できる。臓器別、疾患別の診療科に機能医科学の不可分性を認識させたのはリハ医学の功績である。本年4月からの医科診療報酬における疾患別リハ料は病理医科学と機能医科学の一元的専門分化の延長線上にあると確信したい。今こそ、リハ医学の医学における役割は何であるのか、医学の原点に戻って認識する必要がある。リハ医学は機能医科学の学問体系を発展させることであり、臨床にあっては病理医科学と機能医科学の統合を理念とする医療体系を創ることであると考える。それが、健康を志向する21世紀の医療に貢献することになると確信している。
(東北文化学園大学大学院健康社会システム研究科・医療福祉学部リハ学科 佐直信彦)
今回の診療報酬改定については、この他にも多数のご意見をお寄せいただいております。この問題に関する学会の対応については本紙6ページをご参照ください。個別のご投稿に対するお答えは割愛させていただきます。 (広報委員会)