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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する理事長声明

2020年5月1日

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行(パンデミック)により、欧米では医療崩壊に陥り、また、感染拡大を目的とした都市の封鎖(ロックダウン)により、生活や教育も崩壊の危機に曝されています。我が国でも4月には緊急事態宣言が発令され、その後、対象となる都道府県も拡大されました。

今、この瞬間にも、全国のさまざまな場所でCOVID-19の患者さんの治療とケアに、昼夜を問わず、医師、看護師、医療職、介護職の皆さまが献身的に取り組まれておられることに、日本リハビリテーション医学会理事長として、心から敬意を表するとともに感謝申し上げます。

日本リハビリテーション医学会では、リハビリテーション医学を「活動を育む医学」として再定義し、急性期から生活期に至るまでの医療に取り組んでいます。急性期の集中治療室(ICU)での肺炎に対する呼吸器のリハビリテーション治療から回復期の身体・精神機能低下に対するリハビリテーション治療までCOVID-19の患者さんの治療とケアにリハビリテーション医療は不可欠です。これまでのデータでは、幸いにして殆どのCOVIT-19の患者さんは回復されますが、やはり元の生活に戻るためには、そこからの「活動」を育まなければなりません。そして、急性期・回復期のみならず生活期を含めて、医療や介護のインフラであるリハビリテーション医療・マネジメントはCOVID-19の感染リスクを最小限にコントロールした状態で継続されなければなりません。

リハビリテーション医療に取り組む医師、リハビリテーション専門職、看護職、介護職などの皆さまは、患者さんと直接接触し、また、その時間も長いため、感染する機会が多くなります。さらに、対象となる患者さんのほとんどが、基礎疾患を持つご高齢の方や障害を持つ方で者であるため、ひとたび感染が広まると、その方々の生命を脅かしかねない事態となります。

まず、ご自身の健康に留意してください。そして、感染拡大を防ぐための行動(不要不急の外出を自粛する、常に社会的距離を保つ、「密閉」・「密集」・「密接」を避ける)をお願いします。就業にあたっては、自施設の感染予防基準を遵守し、手洗い、手指消毒の徹底、適切な予防着(マスク、ゴーグル、手袋、ガウンなど)の装着、対面での対応の削減、勤務時間短縮や時差出勤などを心がけてください。万が一、咳、発熱、味覚異常などの症状を自覚したときは、躊躇せずに相談してください。管理者の方には、職員の体調管理、体調不良者が上申しやすい職場づくり、休息を取りやすい勤務調整、職場内での3密の解消、予防着の供給など、職場での感染拡大防止の工夫をお願いいたします。

日本リハビリテーション医学会は、リハビリテーション医学・医療に関連する学会、団体、協会などと連携して、リハビリテーション医療・マネジメントに関わる皆さまを支援いたします。また、COVID-19に起因するリハビリテーション医療・マネジメントの問題も各学会、団体、協会などと協議して、その対策や要望などを提言したいと考えております。

引き続き、COVID-19(疑いを含む)の患者さんとご家族、ご関係の方々、そしてCOVID-19に関連するリハビリテーション医療・マネジメントに従事される皆さまを全力で支援して参ります。

 

令和2年5月1日
公益社団法人日本リハビリテーション医学会
理事長 久保 俊一

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