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リハニュース No.18

2003年7月15日

  1. 特集:リハビリテーション医療をとりまく保険制度の動向

    最近の医療保険の動向―DPC(診断群分類)導入とリハビリテーション医療の変化―・・・ 石 田  暉

    米国における取り組みの紹介―RBRVSを中心に・・・ 田中宏太佳

    社会保険等委員会での取り組み・・・ 本田 哲三

  2. INFORMATION

    編集委員会

    評価・用語委員会

    認定委員会

    関連専門職委員会

    国際委員会

    九州地方会

  3. 2002(平成14)年 日本リハビリテーション医学会論文賞 受賞者紹介

  4. 第40回日本リハビリテーション医学会

    学術集会◎印象記・・・栢森 良二

    報告◎学術集会を終えて・・・ 渡部 一郎

  5. 専門医コーナー:専門医会総会報告

  6. 医局だより

    金沢大学医学部附属病院リハビリテーション部

    市川市リハビリテーション病院リハビリテーション科

  7. REPORT

    The 2nd World Congress of ISPRM (International Society of Physical and Rehabilitation Medicine)・・・ 前島伸一郎 

    2002(平成14)年度外国人リハ交流医◎印象記◎

    日本リハビリテーション医学会◎市民公開講座

  8. 広報委員会より

  9. 事務局コーナー

特集:リハビリテーション医療をとりまく保険制度の動向

最近の医療保険の動向―DPC(診断群分類)導入とリハビリテーション医療の変化―

社会保険等委員会 担当理事 石 田  暉

 本年4月より(準備が間に合わない施設は7月導入まで猶予される)特定機能病院を対象にDPC(diagnosis procedure combination)が実施されている.これは米国を中心に行われている診断群類別支払い方式(DRG/PPS)の日本版にあたるもので,後者が1回入院あたり(per admission)の包括化に対し,DPCは1日あたり(per day)の包括化と内容はいくらか異なるが,急性期医療の一部に包括化の流れが入ってきたことには違いなく,わが国の医療保険制度における一大変化といっても差し支えない.来年以降,特定機能病院から大学病院の分院,地域中核病院へと対象が拡大されると急性期医療全般に影響が生じてくることは間違いない.このDPCの導入によりリハビリテーション(以下,リハ)医療に幾つかの変化が生じることが予想され,それぞれに対していかなる対応をすべきかについて私見を述べたいと思う.

 まず第1は,今回導入されたDPCでは疾患ごとに決められる診断群分類係数があるが,これに施設ごとに異なる係数(医療機関別係数)を掛けて診療報酬が決められることである.この係数が大きいほど同一疾患でも施設に支払われる報酬が大きいことになる.この係数を決めるにあたって考慮されるのは,在院日数,紹介率,重症患者の受け入れ実績,救急患者の受け入れ実績,その他地域医療との連携の実績などである.当然係数を大きくするために,在院日数を短縮したり,紹介率を上げるなど努力がなされる.中でも在院日数短縮が最も係数上昇に強く反映するとして,各病院において(特に私立大学で)一層の在院日数短縮競争が始まることは間違いない.リハにおいては一人の患者の入院日数が短くなれば単純にリハ施行日数は減少し,1入院当たりのリハの効果は減少することになる.しかし,DPCではリハは包括化の枠外で出来高払いとなっており,より治療効果を高める目的や在院期間の短縮で得られた余力が早期患者に振り分けられることになり,各疾患(特に急性期加算のある疾患)の早期リハがさらに加速することが予想される.そのため各種疾患におけるリハが組み込まれたクリニカルパスの作成や早期リハに対応するシステム作りが必要になってくる.

 第2の変化は診療報酬の査定が厳しくなることである.包括化により検査,投薬,画像診断など従来査定の対象とされていたものが対象でなくなり,数少ない出来高であるリハ料の査定に精力が費やされることが予想される.現在でも査定の基準が曖昧でルール通りにリハを施行しても査定される状況から,早急の対応策が求められる.リハ対象疾患それぞれにしっかりとしたリハ治療ガイドラインを作成し,標準化のもとで査定に主観が入らないような対策が求められる.それには今回本学会に設立された「ガイドライン委員会」における各種疾患のガイドライン作成と社会保険等委員会との協業および行政への働き掛けなどにより一切査定の余地が生じない土台を作り上げていく必要がある.

 第3の変化として,米国でDRG/PPS導入後に起こったことであるが,在院日数の短縮が後方病院としての亜急性期病院,リハ病院の需要を掘り起こすことである.米国ではリハ病院のベッド数を増やす前にDRG/PPSにより急性期病院の入院を短縮したため,一時転院先を見つけることが著しく困難な時期があった.厚生労働省はそれを知ってかどうか,まずリハの受皿をしっかり作ってから急性期病院の在院日数の短縮を図ろうとしている.そのため回復期リハには現在いくらかの診療報酬上のインセンティブが与えられ,すでに回復期リハの設立ラッシュが始まっている.急性期病院の包括化が進めば在院日数短縮の圧力から回復期リハ病棟の需要はますます増えるものと思われる.回復期病棟といえども急性期を脱していない患者を受け入れる必要があり,プライマリーケアの心得があるリハ医および看護師の確保が求められる.リハ医学会としても卒後研修の中でそれらに対応できるカリキュラムを組み入れていく必要がある.さらにこの8月の一般病院と慢性期病院の選択の中で中間の存在として駆け込み寺のように回復期リハ病棟が作られ,中にはリハの理念には程遠いものがあり,今後どのようにこれらの質を高め,維持していくかについても学会として真剣に考えていかなければならない.一つの方策として第3者機関による調査を含めた治療内容への積極的な介入についても検討を始めるべき時期にきていると思われる.

米国における取り組みの紹介―RBRVSを中心に

社会保険等委員会 委員 田中宏太佳 

 現在の日本の医療保険制度における診療報酬では,病院に対する支払いと医師に対する支払いは分離されていない.しかし厚生労働省の医療制度改革推進本部が,昨年12月17日に診療報酬体系の見直しについてまとめた試案では,今後の診療報酬はドクターフィー的要素とホスピタルフィー的要素に再編される可能性が示され,医師の技術の評価には「難易度」や「時間」の概念を取り入れる考えが盛り込まれた.

 一方米国では,従来から診療報酬の支払いは病院へのものと医師向けのものがはっきり区別されてきたようである.老人と障害者向けの公的保険制度であるメディケアにおいて,1983年から病院への支払い(パートA)に診断群別包括支払方式が導入され,医師の診療報酬であるパートBには,1992年1月から段階的に資源準拠相対評価尺度(Resource-Based Relative Value Scale:RBRVS)が導入された.

 この相対評価尺度を構成する要素は,1)医師の仕事量(時間と強度を包含する)+2)診療費用(医療職の労働,消耗材料,機器などの直接経費および診療所の賃貸料などの間接経費)+3)専門職責任補償(医療過誤に関する米国らしい報酬)から構成されている.

 米国リハ医学会(American Academy of Physical Medicine and Rehabilitation: AAPM&R)の会員においても,このRBRVSに関する情報は重要なようで,そのホームページにおいてこの話題のためにいくつかの箇所が使用され,適宜更新されている.ある箇所では,リハ専門医が関係する診療行為の項目(physicians' current procedural terminology)を列挙し,それぞれの項目ごとに算出された相対評価点数を表で示し具体的な検討を行っている.例えば,前年に比べ(2001年と2002年の比較)新患および再来患者の診療所での診察点数は1~6%の間で増加したが,新患および再来患者の病院での診察点数は若干減少したこと,多くの注射の手技の項目ではほぼ増加しているものの,電気診断学に関連する項目では若干増加したものと中等度に低下したものが混在している,などのことが解説されている.また他の箇所では,この支払い制度が導入された1992年から2003年までのAAPM&Rの会員が注目している評価点数の毎年の変動と最終的な変化率が項目ごとに示され,エクセルまたはワードでダウンロードできるような便宜も図っている.

 日本の医療保険制度における1点単価は,労災保険などの一部特殊な制度を除けば,全国一律に毎年10円と決めて算出するようになっている.しかしRBRVSにおいては,算出された点数1点あたりの単価(転換係数)も毎年更新される.前出のホームページにも,2003年の係数が2002年に比べ1.6%増加し36.7856ドルにするという法律が,今年1月中旬にブッシュ大統領によって調印され国会を通過したことが示され,その具体的なスケジュールが解説されている.

 このように年ごとの相対評価点数の見直しと転換係数の見直し,および地域格差係数が州を中心とした地域ごとに算出し考慮され,社会情勢の変化に対応できるように工夫されている.  現在日本でも,内科系学会社会保険連合を中心にRBRVSを参考にした相対値を算出する試案が検討されていると聞く.今後の議論の方向を見守ってゆきたい.

社会保険等委員会での取り組み

社会保険等委員会 委員長 本田 哲三 

 本委員会ではリハ医学会でのリハ医療の保険に関する業務一般を扱っている.医療保険に関する通年業務と,保険制度とリハ医療に関する時々のトピックスを取り上げる業務があり,以下,本委員会での取り組みを概説する.

 一般に診療報酬改定の手順は,各学会が外科系社会保険連合会(外保連)と内科系社会保険連合会(内保連)に所属し,それぞれ改定要望書を作成し,その上で両連合会が厚生労働省と折衝することになる.リハ医学会は両連合会に所属している.本委員会では,通年の業務として両連合会へ提出するリハ関連診療項目の改定・新設案づくりをしている.通常は,本委員会の内・外保連小委員会で素案作成→関連4団体(日本理学療法士協会,日本作業療法士協会,日本言語聴覚士協会,および義肢装具士協会)と意見交換→素案を本委員会で検討し委員会案をまとめる→理事会最終承認と内・外保連への要望書提出→内・外保連総会での要望書説明→内・外保連総会案完成→両連合会と厚生労働省との折衝,といった手順となる.

 周知のとおり,最近の医療分野の制度変革は急激なものがあり,本委員会は時々刻々変化する医療制度をリハ医療の立場から検討し提言している.

 2000年4月に回復期リハ病棟が導入され,本委員会はその現状と問題点について2001年9月に全国の333研修施設と回復期リハ病棟連絡協議会会員施設95施設にアンケート調査を実施した(リハ医39(7)359-361).その結果,事務量の増加や病棟内リハが相変わらず少ないなどの問題点はあるものの,在宅復帰率の向上など一定の成果が明らかになった.

 2000年には介護保険制度も導入され,本委員会はリハ医と介護保険のかかわりについて2002年4月に全国調査を実施した(リハ医学39(1)8-10).その結果をふまえて1)リハ前置主義の徹底,2)維持的および予防的リハの普及,3)高次脳機能障害の認定,および4)車椅子支給制度の変更の4点について,リハ医学会理事長を通じて厚生労働省に提言した.

 昨年度は大規模な診療報酬改定が実施されリハ医療分野への影響もきわめて甚大であった(リハ医学39(5)218)ため,2002年6月にリハ施設への緊急調査を実施した(本学会ホームページに調査結果を掲載).さらにその結果をふまえてリハ医学会理事長から厚生労働大臣へ要望書(リハ医学39(10)593 -594)が提出された.本委員会はその素案づくりも行った.

 以上の経過から明らかなように,昨今のリハ医療の現場では保険診療の正確な知識の必要性が改めて痛感された.そこで花山委員を中心として本委員会では「保険診療の手引き」を作成し,今年から学会誌(リハ医学40(5)269-281)および学会ホームページに掲載している.

 さらに現在は医療保険の改定に対する会員のアンケート調査結果をふまえ,リハ早期加算項目の追加とリハ実施計画書の項目内容を再検討中である.

NFORMATION

編集委員会

1. 委員交代:昨年度末に委員の交代があり,北原佶委員の後任として近藤和泉委員が新たに就任されました.編集委員長を含め9人の委員で活動する体制をとっております.退任者のこれまでの編集委員会に対するご貢献に感謝するとともに,新委員のご活躍を期待いたします. 

2. 論文賞選考:3回目になる2002(平成14)年分の論文賞選考を行い,6月の第40回日本リハ医学会総会にて表彰を行いました. 

3. 新年度よりnative speakerに委託して掲載論文の英文要旨のチェックを始めております.投稿規定の改定による字数の調整と相まって,和文要旨との整合性もとるようにしておりますので,より一層の内容向上につながるものと考えております. 

4. 外国のリハ医学雑誌との提携の可能性を探っています.具体的な方向性を出すにはもう少し時間がかかりそうですが,このたびチェコのプラハで開催されました第2回ISPRMの際にも編集者との話し合いの場を設け,意見交換を行っています 

5. しかしながら2003年に入ってから投稿論文数の伸びがやや鈍っております.掲載論文のさらなる充実を目指し,査読過程のさらなる迅速化を中心に委員会でも努力いたしますので,会員の皆さんに積極的な投稿をお願い申し上げます.どうぞよろしく 

(委員長 赤居正美)

評価・用語委員会

 1. 委員,委員長交代:評価・用語委員会は旧「学術用語委員会」と旧「評価基準委員会」が合併して誕生した委員会です.昨年度末の時点で大橋委員長,近藤委員が学術用語委員会から,私が評価基準委員会から引き継いで在籍していました.今年度になり,大橋委員長,近藤委員が任期終了にて退任されました.これに伴い,新たに森田定雄委員(東京医科歯科大学リハ科)と朝貝芳美委員(信濃医療福祉センター)が就任され,大橋委員長の後任として私が委員長に拝命されました.よろしくお願いいたします.

 2. リハビリテーション医学用語集:昨年度,5年に一度の改定作業が終了し,会員の皆さんに新しい用語集をお届けすることができました.要望のありました他学会,協会,教育機関にも配付しております.会員の方々および関連施設での臨床,研究,教育に役立てていただければ幸いです.なお当委員会では用語集を本医学会ホームページに掲載するかどうかを検討中です.この点に関して皆さんのご意見,ご希望があれば学会事務局(FAX:03 -5966 -2033)までご連絡ください.

 3. 評価法データベース:当委員会では,リハ医学関連の和・洋総合誌(7雑誌)から投稿論文で用いられた各種評価法を抽出する作業も行ってきました.1998~2000年の3年間のデータは既に学会誌に報告の通りです.さらに本学会ホームページ上でも,検索やダウンロードが可能となっています(詳細はこちらより).今後もこれらのアップデートを行うべきか委員会で討議しているところです.皆さんのご意見をお寄せください.

 4. 「質問箱」:会員の方々から寄せられたリハ関連用語や評価法の質問に「質問箱」でお答えしています.昨年度は,「全人的holisticと包括的comprehensive」(No.13),「総合リハ実施計画書に使用されている用語」「骨盤の開き」(No.16)について解説しました.新たなご質問があればリハニュース編集部(r-news@capj.or.jp)宛てお送りください.

(委員長 豊倉 穣)

認定委員会

 第40回日本リハ医学会総会において,「専門医制度に関する規則」の改正案が承認されました.認定委員会では,本規則ならびに改正された日本リハ医学会専門医認定基準に基づいて,専門医試験の実施方法,臨床研修カリキュラム修了の認定基準の策定,研修施設認定基準および認定臨床医制度の見直しなどを行っています.

 改正専門医制度に基づいた今年度の専門医試験は,2004年3月4~5日に,筆記ならびに口頭試験で実施しますが,受験資格基準等に関して旧専門医制度からの移行がスムーズにできるように検討を進めています.また,今年度については,本年9月に行われる認定臨床医試験を含めて,筆記試験によりすでに認定臨床医になられている先生の筆記試験は免除いたします.これら受験資格等の詳細は,リハ医学40巻8号に掲載されますのでご確認ください.なお,認定臨床医試験は,本年度をもって廃止とする予定です.

 臨床研修カリキュラムの修了認定は,旧専門医制度における8つの各領域の履修義務を,どのような形で認定するかなどについて検討していきたいと考えております.ご承知のようにリハ医学は,幅広い臨床分野にわたる研修を必要とするために,1カ所の研修施設ですべての分野を履修することは難しく,複数の施設の協力が不可欠かと存じます.社会的信頼が得られるようなリハ科専門医の育成のためにも,研修施設の充実に向けて,専門医の先生方のご協力を何卒よろしくお願い申し上げます.

(委員長 長谷公隆)

関連専門職委員会

 関連専門職委員会の調査では,昨今理学療法士,作業療法士,言語聴覚士などの需要の増大をもとに養成校の急激な増加がみられます.リハ医学会としても関連職種の拡大は好ましいことでもありますが,質的な維持・向上も必要とされるところであろうと思われます.今年度はこれら養成校の状況を把握する調査を行いました.この調査内容からは,東京・大阪近辺の大都市周辺に養成校が集中していること,各種学校,短大,大学,大学院など様々なレベルの教育機関があること,養成人員も入学定員で8~80人程度のものまでがあるなど,その一部を第40回日本リハ医学会学術集会で報告しましたので,参考にしていただければと思います.

 さらに,国民へのリハの普及とともに,その関連すると思われるその他の職種が増大しています.これらの職種については国家資格のあるものから,学会などの認定,民間の関連団体による認定など様々なものがあるように思われます.例えば,医療系として,臨床心理士,視能訓練士,呼吸療法士などがあり,福祉系として介護福祉士,社会福祉士,精神保健福祉士,介護保険専門員などもあります.そこで,これらの関連職種がリハ医師やリハチーム医療にどのように関連しているのかを把握し調査しています.

 また,今年度も引き続きPTOT養成施設等教員講習会ならびに在宅訪問リハビリテーション講習会の運営に関与し,よりよいリハチーム医療・福祉への貢献を目指しています.

(委員長 前田真治)

国際委員会

 第40回日本リハ医学会(会長:眞野行生先生)の総会において,2003年度Honorary Memberに米国アイオワ大学神経内科教授,京都大学名誉教授のJun Kimura先生がなられたことが報告されました.すでに,会告としてリハ医学40巻6号でお知らせいたしましたように,従来,外国人だけを対象としてきた内規を,他の学会の例を参考に海外に在住し永住権・市民権をもち,本医学会に貢献されている著名な先生方も含めるように改正した結果,お迎えできるようになりました.

 2003年度海外研修助成には,近藤健男先生(東北大リハ科,ドイツ・ベルリン大学リハ施設訪問),殷祥洙先生(慈恵医大リハ科,韓国・延世大学リハ施設訪問),正門由久先生(慶應大月が瀬リハ,米国臨床神経生理学会発表)の3名が報告されました.近藤先生はISPRMでの発表もされる予定です.殷先生には日韓リハ医学交流推進の一翼を担っていただきたいと思います.正門先生には学会発表とともにワシントン大学リハ科に施設訪問の上,交流発表もしていただく予定です.

 2003年度外国人リハ医交流プログラム対象者には,Dr. Yat-Wa Wong (Senior Med. Officer, Spinal Cord Injury Center, Hong Kong),Dr. Peter J. Scougall (Director, Research Unit, St. Luke's Hospital, Sydney)の2名が決まりました.Wong先生は脊損のリハ,Scougall先生は手の外科手術後のリハを研究されています.積極的な日本リハ医学会員との交流を期待しております.なお,SARS流行で2003年度の国際委員会関連の国際交流計画全般に変更を生じる可能性があることをご了承ください.

 最後に,海外研修制度,外国人リハ医交流制度の内規の一部改正がなされ,2004年より適用されることをご承知ください.詳細はリハ医学40巻7号の会告をご参照ください.

(委員長 岡島康友)

九州地方会

 九州地方会学術集会(以下,学術集会)は,年2回(2月と9月)開催しております.従来,午前中の一般演題,午後の特別講演1題までを学術集会とし,それに引き続いて認定臨床医生涯教育研修会講演2題を開催しておりました.認定単位のカウントは学術集会参加1単位,特別講演1題と生涯教育教育研修会2題に関しては各1単位で,1日で最大4単位取得できるよう考えておりましたが,特別講演を含む学術集会の参加は1単位しかカウントできないという取り決めがあり,従来の形式で行うと1日で最大3単位までしか取得できなくなります.そのため,現在,午前中の学術集会一般演題参加で1単位,午後の認定臨床医生涯教育研修会講演3題(3単位)の合計4単位取得できるような形式で運営しています.

 地方会システムの変更に伴い,地方会の「世話人」は今後名称を「幹事」とすることになりましたが,九州地方会では幹事を各県1名ずつ増員し,合計38名としています.各県の会員数や地域のバランスを考慮し,各県ごとに定数を割り当てています(福岡県13名,熊本県6名,佐賀県3名,長崎県3名,大分県3名,宮崎県3名,鹿児島県5名,沖縄県2名).また,幹事38名とは別に「監事」2名を選任しています.地方会の発展に貢献していただいた「特別会員」の先生方には,「顧問」として今後とも地方会をご指導・ご支援していただく予定です.

(佐伯 覚/産業医大リハ医学講座)

2002(平成14)年度 日本リハビリテーション医学会論文賞 受賞者紹介

「最優秀賞」…山内 秀樹氏

山内秀樹,刈谷文彦,田端淳一,宮野佐年 各氏: 長期非荷重に伴う筋萎縮とミオシン重鎖分子種の発現変化.リハ医学2002;39(5):236-244

 この度は,日本リハ医学会論文賞「最優秀賞」という名誉ある賞をいただきまして,誠にありがとうございます.この研究は,米本恭三先生(東京慈恵会医科大学リハ医学講座前任教授,現東京都立保健科学大学長)や宮野佐年先生(現教授)のご指導の元に,多くの共同研究者の先生方のお力添えによりまとめ上げられたものです.この場をお借りして,ご指導・ご尽力いただきました先生方に厚くお礼申し上げます.受賞論文は,機能的に異なる骨格筋において,非荷重に伴う筋萎縮と筋線維タイプの移行を収縮蛋白の変化から経時的に調べた,観察的研究であります.長期の非荷重ではヒラメ筋の収縮蛋白濃度の低下が生じるが,足や内側腓腹筋では生じないこと,足底筋や内側腓腹筋に比べ,ヒラメ筋では早期からタイプ変化(速筋化)が生じることなどを報告いたしました.今後は,分子生物学的手法を用いて,骨格筋の適応変化のメカニズムを探求していきたいと考えております.微力ながら基礎研究成果の蓄積に精進し,少しでもリハビリテーション医学の発展に貢献できるよう努力していきたいと考えております.

略歴:1989年愛知教育大学大学院修了.同年東京慈恵会医科大学助手(体力医学研究室),2000年東京慈恵会医科大学講師(リハビリテーション医学講座体力医学研究室),現在に至る.

長期非荷重に伴う筋萎縮とミオシン重鎖分子種の発現変化

山内 秀樹,刈谷 文彦,田端 淳一,宮野 佐年

東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座体力医学研究室
(受付: 2002年1月23日; 受理: 2002年4月6日)

要 旨: 生後6カ月齢のFischer 344系雌ラットを用い,1,3,8週間の非荷重による筋萎縮とミオシン重鎖(MHC)分子種の発現変化について検討した.ヒラメ筋(SOL)では筋原線維蛋白濃度の減少が非荷重3週間以降に観察されたが,足底筋(PLA)と内側腓腹筋(MG)では非荷重8週間まで変化が認められなかった.したがって,速筋における筋重量変化は,機能的な萎縮率を反映するが,SOLでは筋原線維蛋白濃度の低下を伴うため,筋重量変化は機能的な萎縮率を過小評価すると考えられた.MHC分子種組成はSOLではMHC Iの減少とMHC IIxの増加が,PLAではMHC I,IIaの減少とMHC IIbの増加が,MGではMHC IIxの減少とMHC IIbの増加が観察された.すなわち,MHC分子種は,いずれの筋においてもMHC IからIIb方向への発現変化が認められたが,筋により変化の程度は異なるものであった.PLAとMGではMHC分子種の発現変化は非荷重8週間においてのみ観察されたが,ヒラメ筋では非荷重3週間でMHCIIaが減少し,通常ほとんど発現していないMHC IIxの発現が認められた.以上の結果は,MHC分子種の発現変化は速筋に比べて遅筋のSOLで先行し,また,そのシフトはMHC IからIIaへの変化に比べMHC IIaからIIxへの変化が先行することを示唆する.

キーワード: 非荷重(unloading),筋萎縮(muscle atrophy),ミオシン重鎖(myosin heavy chain)

「最優秀賞」…武田 斉子氏

武田斉子,才藤栄一,松尾浩一郎,馬場 尊,藤井 航,Jeffery B. Palmer各氏: 咀嚼が食塊の咽頭進入に及ぼす影響.リハ医学2002;39(6):322-330

 この度はこのような名誉ある賞をいただきまして,大変ありがとうございました.ご指導いただきました才藤栄一先生や,一緒に研究を進めていただいた研究班の諸先生方,査読に際して的確なご指摘をいただきました先生方に深く感謝し,お礼申し上げます.「咀嚼と嚥下」というテーマは1997年に新しく提唱された固形物の咀嚼条件での嚥下モデル(Process model)を元に考えられたもので,1999年にJohns Hopkins大学のJeffery B. Palmer教授に直接師事できたことも,私にとってかけがえのない貴重な経験となりました.この研究を通して普段,私たちが何気なく行っている摂食・嚥下運動がいかに奥深く,未知のものであるのかを知り,嚥下機構に対する興味は尽きないところであります.今後は咀嚼が嚥下に与える影響を随意的な嚥下と反射的な嚥下に分けて考えていくことを課題として取り組み,嚥下障害者にとって安全な食物形態の開発や嚥下機能改善に有効な訓練法の考案に携わっていければと考えております.これからも多くの先生方のご指導を賜りたく,この場をお借りしてお願い申し上げます.

略歴:1994年東京女子医科大学卒業.同年4月名古屋第1赤十字病院勤務.1996年4月公立学校共済組合東海中央病院勤務.1998年10月藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学講座勤務.1999年11月Johns Hopkins大学Physical Medicine&Rehabilitation 講座に留学.2000年4月藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学講座勤務.2003年3月日本リハビリテーション医学会専門医取得.

咀嚼が食塊の咽頭進入に及ぼす影響

武田 斉子,才藤 栄一,松尾浩一郎,馬 場  尊,藤 井  航,Jeffery B PALMER

藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学講座
(受付: 2002年3月25日; 受理: 2002年5月31日)

要 旨: 咀嚼嚥下の評価法の確立のため,健常成人10名を対象として,4食物条件下で咀嚼が嚥下反射開始前の食塊位置および嚥下時間経過に及ぼす影響を嚥下造影検査を用いて検討した.液体命令嚥下に比し全咀嚼条件で食塊先端位置の中~下咽頭への到達率が高く,食塊進入には咀嚼の存在が一義的に関与し,食物形態はそれを修飾する役割を担うと思われた.混合咀嚼条件では食塊は全例で嚥下前に中~下咽頭へ到達しており,信頼性の高い負荷法といえた.液体を含む咀嚼嚥下では,下咽頭到達が高率で下咽頭通過時間も長く,誤嚥防止の観点から興味深い所見であった.咀嚼嚥下は命令嚥下とは別様式であり「食べる」機能の評価と位置づけられた.

キーワード: 嚥下障害(swallowing disorder),咀嚼(mastication),食物形態(food consistency),ビデオ嚥下造影検査(videofluorography)

「奨励賞」…長坂 誠氏

長坂 誠,上月正博,藤居 徹,河村孝幸,市江雅芳 各氏: ラット骨格筋虚血モデルでの持続的微弱電気刺激による血管新生因子の動態.リハ医学2002;39(8):457-466 

 この度は日本リハ医学会論文賞「奨励賞」をいただき大変光栄に思っています.私は1998年に東北大学大学院医学系研究科内部障害学分野博士課程入学後,研究というものに初めて接しました.電気刺激は古くからリハ医学に用いられてきた治療法ですが,最近はその血管新生作用についての知見が得られています.このことにより電気刺激療法の新たなる可能性を追求できるのではないかと考えたのが今回の研究の出発点です.今回の研究で,私は筋収縮を与えない微弱電気刺激により,収縮刺激と同様に血管新生因子が増加したこと,血管新生作用以外にも臓器保護・抗アポトーシス作用を持つ因子(HGF)が増加したこと,を示しました.このことにより微弱刺激が筋疲労や不快感といった電気刺激療法のnegative factorを取り除くだけではなく,電気刺激療法が従来の療法や血管新生療法以外の治療法として確立される可能性が示唆されました.今回の研究を通して,私はそうした未知なる世界が広がっていくことに少しとまどいを感じています.今後,私は電気刺激という伝統的な手法と,血管生物学等の新しい手法を用いて,リハ医学の新たなる可能性を追求していきたいと考えています.最後になりましたが当科の上月教授をはじめとするスタッフの心暖かいご支援・ご指導に厚くお礼申し上げます.

略歴:1996年東北大学医学部卒業,同年古川市立病院研修医,1998年東北大学大学院医学系研究科内部障害学分野博士課程入学,2002年博士課程修了.同年東北大学附属病院内部障害リハビリテーション科医員.

能動義手/断端駆動ロック肘(Robin-Aids)処方が効果的であった前腕不良短断端の2症例

加 藤  剛 長尾 竜郎 北 原  宏 高岡 厚視

千葉県千葉リハビリテーションセンター
(受付: 2003年3月19日; 受理: 2003年5月19日)

要 旨: In short below-the-elbow stumps with insufficient muscle strength to flex the forearm through the normal range, it is very important to select suitable prosthesis. The wrong prosthesis may result in some clinical problems such as stump pain or abrasion. We reported two cases in which clinical problems were improved when using the Robin-Aids elbow hinge. Both patients had wide scarring around the stump, muscle atrophy of the upper limb, and limited range of motion in the elbow joint. They could perform standard active prosthesis techniques without trouble when using the Robin-Aids elbow hinge. Because the motion of the stump was used only for “locking or unlocking” when using the Robin-Aids elbow hinge, there was no need to burden the stump end with a heavy load. Though, in recent years, modern high-technology devices such as myoelectric hands have attracted people's attention, we should not forget old time-tested techniques which are as useful as modern ones.

キーワード: 前腕短断端(short below-the-elbow stump),Robin-Aids式肘継ぎ手(Robin-Aids elbow hinge),倍動肘継ぎ手(step-up elbow hinge),断端部皮膚障害(stump abrasion),拘縮(contracture)

第40回日本リハビリテーション医学会

第40回日本リハビリテーション医学会学術集会◎印象記

帝京大学医学部リハビリテーション科栢森 良二

 第40回日本リハ医学会学術集会(以下,リハ学会)は,北海道大学大学院医学研究科リハ医学の眞野行生教授を会長として,札幌コンベンションセンターにて2003年6月18~20日の3日間開催された.メインテーマは「リハ医学の挑戦的な研究とリハ医療の積極的な展開」であった.会場は6月に開館したばかりで,本リハ学会が最初の大きな催し物で,建物はもちろん真新しく,とくにトイレはウォシュレットになっており一流のホテル並かそれ以上であった.
 例年のことであるが,リハ学会に参加すれば,リハ医学に関する今日的話題の多くを学ぶことができる.その一方で,会場・会期の関係から並行して行われるプログラムが多く,すべてのセッションに参加することは不可能である.筆者の出席した順にどんな内容であったかを手短に記述する.

 会長講演は「随意運動の制御とリハビリテーション」で,長年の神経生理学者としての膨大な業績に基づいた内容であった.神経系の可塑性,基底核疾患の運動制御,脳卒中の痙性制御などを織り込みながら,随意運動過程における各種リハ・アプローチの可能性を提示してくれた.この講演内容に裏打ちされて,必然的にメインテーマがあることが良く理解できた.
 祖父江逸郎先生の記念講演は「リハビリテーション医学,医療のこれからの新しい視点-これまでの40年の学会活動をふり返って」であった.1964(昭和39)年の第1回のリハ学会では,会員数494人,一般演題69から始まり,2003(平成15)年ではそれぞれ9,369人,692題になっていた.リハ医学の対象の変遷はついに高次脳機能や内部障害まで拡大してきている.高齢者リハとりわけ痴呆へのアプローチに重点を置き,保健・医療・福祉の包括的リハによってADL改善とQOL向上を目指すべきであると論じていた.

 通常総会では,リハ認定医がリハ専門医へ変更になること,さらにリハ指導医が必要であること,生涯教育更新制度が10年40単位から5年20単位に変更されることなどが決定された.専門医になるための研修期間や内容や資格の認定など重要な内容が討論されるべきであったが,1時間半では短すぎたようである.

 ランチョンセミナーはほとんどの会場で120%の出席者であふれていた.とくに日本整形外科学会の生涯教育研修単位が取得できるセミナーは開始時間の15分前には100人近くの列ができていた.会場内でも満員電車なみで椅子に座ってゆっくりと昼食をとることはできず,しかも頭の位置をどう動かしても,前方のスライドが全く見えない状況であった.Dr. Mark HallettのMotor Learning and the Role of the Motor Cortexは,分かりやすい英語で,今後の研究テーマが何かを示唆するもので,実にすばらしい内容であった.もう1つの,右手が義手のDr. Alberto EsquenaziのSpasticity and Focal Muscle Overactivityは,脳卒中の内反尖足,屈曲肘や手指,thumb in palmなど痙縮変形に対するボツリヌス毒素による治療法についての教育的内容である.痙縮治療は今後大きな進歩をすることが期待される.しかし解決しなければならない点は,日本における医療法上の規制と新薬価格の高額化の問題である.
 8時30分からのモーニングレクチャーは,すべての会場で盛況であった.30分と限られた時間であったことから,むしろ内容にまとまりがあり,わかりやすかった.従来の60分より好評であったと思われる.しかし移動時間が含まれていなかったことから,参加者は9時からの学会開始に間に合わせるために,終了間近になると慌ただしく会場を後にすることもあった.

 シンポジウム「高次脳機能障害者支援をめぐる医療と施策」では,高次脳機能障害を注意,記憶,遂行機能,社会的行動の4つの認知障害のある症候群と定義することが提案された.十分な時間がとれず,障害者年金診断書や障害者手帳の施策まで話が進まなかった.

  本学会では,リハ医学の基盤を構成する1つに神経生理学であり,この知識に基づいたリハ医療を行うことが,リハ医学の独自性を形成していることを強く印象づける学会であった.

 

眞野行生会長(画像右)

Dr. A. Esquenazi

 

ポスターセッション

第40回日本リハビリテーション医学会学術集会を終えて

第40回日本リハビリテーション医学会学術集会 運営委員長 渡部 一郎 

 たくさんの参加者をいただき,第40回リハ医学会学術集会は無事終わることができました.会の運営にご尽力いただいた運営委員の先生方,プログラムの審査・校正などをいただいたプログラム委員の先生方,また最新のリハ医療についてご講演いただいた講師の方々,遠方からお越しいただき,たくさんの活発な討論をいただいたすべての参加者の方々に心からお礼を申し上げます.

 今回の学術集会は40回という節目の記念すべき学会であり,いくつかの記念講演を設定し,「リハ医学の挑戦的な研究とリハ医療の積極的な展開」をあげました.北海道開催は約25年ぶりで,遠方である北海道での開催のため参加数の心配もありましたが,結果としては,演題数800題以上,参加総数2,300人以上と,例年以上に多くの参加をいただき,主催事務局としてはうれしく思います.新しい会場の「札幌コンベンションセンター」が学会会期直前6月1日にオープンした点で,多々の心配がありました.周辺環境や案内板がまだ整備されておらず,来場する際にご心配・ご迷惑をおかけしましたが,運営については,開設に伴う音声・照明などのトラブルもなく,新しくきれいな広い会場を存分に使い,効果的でスムーズな運営ができたと思います.北大リハ部門スタッフ,裏方を担当いただいた方々に感謝申し上げます.

 周辺の飲食街環境の不備から,昼食のキャパシティが不十分なことを予測し,十分数のランチョンセミナー,弁当販売を準備したつもりでしたが,予想以上の多数の参加をいただき,特に最終日(この日のみ雨がふり,その影響もあったと思います)は弁当も完売となってしまい,たいへんご迷惑をおかけしました.また,朝早くのモーニングレクチャーから,夜遅くまでのイブニングセミナー・ナイトセミナーをはじめ,教育講演・シンポジウム・パネルディスカッションのどの会場もあふれんばかりの参加者と活発な討論で充実しており,皆様のリハ医学への熱意に感銘を受けました.

 また,事務局としてはタイムテーブルの遵守に苦労いたしましたが,評議員会・総会では専門医制度についての予定時間を超える白熱した討議も印象深く思います.専門医制度については日本専門医認定制機構の酒井紀先生の有意義な講演もいただきました.

 とりあえず大きなトラブルもなく学術集会を成功裏に終えることができ,また,その責務から解放されほっとしております.北大リハ科医局一同,お礼を申し上げるとともに,今後ますますの日本リハ医学会の発展のためがんばろうと思いました.どうぞよろしくお願いいたします.

専門医コーナー

専門医会総会報告

 2003年6月19日,第40回日本リハビリテーション医学会学術集会会場の札幌コンベンションセンターにおいて専門医会総会を開催した.専門医会会員は2003年6月17日現在で702名である.同日現在の専門医数は791名なので,本会の組織率は88.7%ということになる.2002年度事業報告,決算報告が承認され,2003年度事業として,学術集会(第15回カレントトピックス&レクチャー)を2003年10月25・26日に名古屋で開催する(才藤栄一副会長担当),日韓リハビリテーションカンファレンスへの協力として2004年4月23日に専門医会特別シンポジウムを開催する(椿原会長担当)という2つの大きな事業を中心とした計画案が承認された.役員改選は来年度の予定であるが,住田幹男幹事,豊倉穣幹事が任期途中で退任されたため,幹事会より道免和久先生,渡部一郎先生を新幹事に推薦し承認された.

 ところで,今年は前日に行われたリハ医学会総会で,右に示す専門医制度に関する規則の改訂案が承認されたため,今後の専門医会のあり方を再検討する必要性が生じたが,6月20日に行われた第1回幹事会では新専門医制度の発足までに今後の専門医会のあり方を検討していく方針を確認した.また,専門医会総会において会員から,新専門医制度発足に際し研修施設の基準,指導責任者の条件,望ましい臨床研修カリキュラムの内容などについて専門医会で案を検討し積極的にリハ医学会に提言を行うべきだという意見があり,幹事会でもワーキンググループの活動を通してこのような提言をまとめる作業を行う方針が確認された.

(水落和也)

〈新専門医制度の骨子〉
2003年度日本リハ医学会通常総会資料より

  1. 日本リハビリテーション医学会(リハ医学会)が認定する医師(専門医)の名称は『リハビリテーション科専門医』とする.

  2. 専門医はリハ医学会が定めた臨床研修カリキュラムに基づき5年以上の研修を終了した者をリハ医学会が認定する.

  3. 専門医はリハ医学会の認定した研修施設において規定の研修を受けた者で資格審査と試験に合格した者とする.

  4. 研修施設はリハ医学会が認定するリハビリテーション科専門医が指導責任者として常勤し臨床研修カリキュラムに基づき研修を行うものとする.

  5. 専門医は生涯教育基準にしたがって一定期間ごとに資格を更新する.

  6. 試験方法,指導責任者の資格,臨床研修カリキュラムは別に定める.

医局だより

金沢大学医学部附属病院リハビリテーション部

 当院のリハ関連部門の歴史は,1960(昭和35)年に中央診療施設として物療部が開設されたことに始まる.1980(昭和55)年には物療部の改称(理学療法部)と同時に作業療法部が,新設された.2003年4月,これら2部門に言語聴覚療法,精神科作業療法が加えられ「リハビリテーション部」と改称し,中央診療施設の大きな一部署となった.診療業務を行う医師はリハ専門医3名〔助手(筆者),保健学科教授(立野勝彦,染矢富士子)〕のほか,他院からの研修医1名(高橋友哉)が週一回来院しリハ研修中である.コメディカルスタッフはPT 7名,OT 4名(うち精神1名),ST 1名,受付事務1名のほか,保健学科よりPT 4名,OT 5名,ST 1名が診療業務にあたっている.

 新患外来は週3回設けている.年間新患件数は1989(平成元)年度600件,1993年度800件,1998年度1,000件と年々増加の途をたどり,2002年度は1,300件を超えた.急性期の患者が多いが,疾患等の内訳は開胸・開腹術後,廃用症候群,悪性疾患,脳神経外科疾患,神経内科疾患,皮膚科疾患(主に強皮症),糖尿病・肥満の運動療法,CPハイリスク児,切断,整形外科疾患,特殊疾患など多岐にわたる.  当リハ部の院内診療活動として,脳神経外科学教室のカンファレンスや病棟回診への参加,皮膚科膠原病班や内科糖尿病班のカンファレンス参加,嚥下障害患者に対するNSTとの連係,ICUやHCUのNsに対する呼吸理学療法の実技レクチャー,NICUにおける新生児の寝かせ方や抱き方指導などがある.中央診療施設として病院全体に貢献すべく各部署との連係を大切にし,ならびに専門的リハを追求する姿勢をもち診療にあたっている.

 当院リハ部の週間スケジュールには,新患報告会,コメディカルを含めた症例検討会,保健学科との合同抄読会などがある.またリハ医は院内回診を行っているが,当部が担当する入院紹介患者は随時約80人と極めて多いため,週2回に分け回診している.4人のリハ医は皆,回診を通して院内全体のリハ対象患者を把握でき,自分の担当以外の患者についても関心が持てる.患者の治療方針に関するリハ医どうしのディスカッションは活発である.  新しくなった金沢大病院リハ部の見学や研修は随時受け付けております.研修医にとっては,幅広い領域にわたる急性期リハの研修を豊富な症例数をもって行えると考えています.伝統と文化の金沢に興味ある方,スタッフ一同歓待いたします.

(八幡徹太郎)

金沢大学医学部附属病院リハビリテーション部
〒920-8641 石川県金沢市宝町13-1
Tel076-265-2000,Fax076-234-4372
(保健学科理学療法学 立野宛)

市川市リハビリテーション病院リハビリテーション科

 当院は,千葉県北西部の市川市に1998(平成10)年に開設した「リハビリパーク」の愛称で呼ばれる市川市保健医療福祉センターの中核をなす施設で,病床数100床のリハ専門病院です.当センターは,リハ病院に加え,介護老人保健施設,訪問看護ステーション,デイサービスセンター,在宅介護支援センターを併設し,市川市の地域医療,福祉の中核をなしており,施設内で介護保険や身体障害者手帳の申請も可能となっています.人口45万人の市が経営母体となり,このような複合福祉施設を運営している自治体は類を見ず,当院の概要を紹介するうえでの大きな特徴の一つとなっています.このため地域の福祉啓蒙活動も重視し,市内の高校生のボランティアの受け入れの場ともなり,研修会を実施し,夏祭りやクリスマスなどの行事に参加してもらっています.

 当院の病棟構成は一般病床50床,回復期リハ病棟50床で,現在のリハ科医師は5名で,うち専門医が3名となっています.リハ科以外には整形外科,内科(消化器科),歯科を標榜しており,整形外科,内科医師各1名,歯科医師1名,リハスタッフはPT 12名,OT 10名,ST 3名,臨床心理士1名,医療ソーシャルワーカー2名が勤務しています.

 対象疾患は脳血管障害患者がリハ科入院患者の8割程度を占め,他は脊髄損傷,外傷性脳損傷,廃用,切断,神経筋疾患などとなっています.脳血管障害患者は近隣の救急病院からの紹介による患者が大部分を占め,発症後2~6週程度で転院してくる患者がもっとも多くなっています.当院での医師研修は,基本的に慶應義塾大学医学部リハ科の卒後教育の一環として行われています.主に卒後3~6年目の専修医過程の医師が,リハチームのリーダーとしての役割を十分果たせるだけの実力を身につけることを目的として研修にあたっており,そのための配慮として,外来,新入院患者への対応などを午前中に集中して行い,カンファレンス,装具診察や電気生理,嚥下造影,膀胱機能検査,神経ブロックなどは午後に全員が立ち会い,指導医の指導を受けながら経験を積むことができるようにプログラムを設定しています.

 「リハビリパーク」は高齢者福祉政策に熱意を注ぐ市川市の熱い期待と重い責任を背負って誕生した施設です.まだ,日も浅く,十分な市民サービスを提供しているとは言えませんが,今後もよりよいリハ医療と福祉サービスの向上をめざして努力していきたいと考えております.

(赤星和人)

市川市リハビリテーション病院リハビリテーション科
〒272-0802 千葉県市川市柏井町4-229-4
Tel 047-320-7111,Fax 047-339-7520
病院HP: www.city.ichikawa.chiba.jp/net/hoken/reha/index.htm

REPORT

The 2nd World Congress of ISPRM(International Society of Physical and Rehabilitation Medicine)

和歌山県立医科大学リハビリテーション科 前島伸一郎 

 第2回国際リハビリテーション会議(ISPRM)は2003年5月18~22日,プラハ(チェコ共和国)で開催されました.今回の参加者は前回をはるかに上回りましたが,SARSの影響の余波からか,残念ながら参加を断念した発表者も少なからずいたようです.

 演題募集は昨年度末に締め切られたハズでしたが,学会の直前まで演題を募っており,演題数はSpecial education activities 13題,Key note lecture 67題,Oral presentation 502題,Poster presentation 1,055題と多数にのぼりました.日本からの演題も数多くあり,特に東北大学から発表は10題以上,内容も多彩で質的にも優れ,同じ日本人として誇りに思いました.

 今回の学会の目玉は,おそらくYoung Scientist Award Sessionでしょう.世界各国の若手研究者が事前に論文を提出し,その中の10題が採択された訳ですが,日本人が3名含まれていたことが印象的でした.国立身障者リハセンターの三好扶氏は水中トレッドミルによる歩行,ペンシルバニア大学の武原格氏(慈恵医大)はヘリカルCTによる嚥下の評価,我等が和歌山県立医大の大沢愛子はもの忘れ外来受診者の局所脳血流の定量的評価(3DSRT)を発表しました.その内容は他国の発表に勝るとも劣らず,甲乙つけ難い素晴しいものでした.世界の大舞台で活躍する若手を観て,微笑ましく,また羨ましく眺めてしまいました.

 もう一つの目玉はPoster Award Sessionで,日替わりで最優秀と評価されたポスターに賞を与え展示しておくというものでした.私達もこの賞を狙って試行錯誤しカラフルなポスターを沢山作りましたが,残念ながら受賞できませんでした.この賞の選考基準は派手さではなく内容だと気づいたのはAwardを取ったポスターを見た時でした…….

 今回の学会では,どの演題も日本の発表は非常に質が高く,我が国のリハ医療水準の向上を強く感じました.リハ医療の先進的立場にある米国からの発表が少なかったことは残念でしたが,日本のリハ医が世界のリハ医学界をリードする日が近いことを確信した5日間でした.

 次回のISPRMは2年後にサンパウロ(ブラジル)で予定されています.世界のリハ医療の向上に向けて,さらなるステップを期待します.

2002(平成14)年度外国人リハ交流医◎印象記◎

氏名:Galina Zhukovsky MD, PhD(41歳)
所属:PM&R Department, Ichilov Hospital (イスラエル,テルアビブ)
期間:2002年10月5~13日
訪問先:関西労災病院
    東京都リハビリテーション病院
発表演題:
1. Rehabilitation of patients with rheumatic diseases
2. The value of testing pudendal nerve conduction in evaluating erectile dysfunction
3. Multifactorial pathogenesis of falls as a basis for multifactorial interventions, including pharmacotherapy and exercise (Tai-Chi)  

 私は2002年10月5日から10月13日の間日本を訪問し関西労災病院と東京都リハビリテーション病院を訪問しました.この間早川教授,上好教授,藤原教授,住田先生,鷹野先生,本田先生とお会いしたほか,若い先生では土岐先生,金田先生,佐浦先生,前島先生,杉本先生,大塚先生,リウマチ科では向井先生,泌尿器科では高坂先生,その他理学療法士,作業療法士,言語療法士,ソーシャルワーカーの人たちとお会いすることができました.また関西労災病院では住田先生と東京都リハ病院では本田先生と病棟回診を行いました.東京都リハ病院では本田先生の外来診察を見学した他,杉本先生と装具クリニックに,本田先生と入院検討委員会に出席しました.また患者の自宅を訪問し地域リハを見学しました.関西労災病院では土岐先生と嚥下障害クリニックを見学しました.研究セミナーは,関西労災病院では金田先生の「プッシュアップ動作中の上肢,肩甲帯の表面筋電―脊髄損傷患者と健常人の比較―」,東京都リハ病院では向井先生の「RA患者と健常人の症状と神経内分泌免疫ネットワークメディエーターレベルの比較研究」に出席しました.また私は日本リハ医学会近畿地方会,関東地方会,関西労災病院スタッフミーティング,東京都リハ病院スタッフミーティングで発表しました.そして日本の保険制度,医学教育,専門医教育,障害者に対する医療サービスについて勉強しました.また住田先生,奥様と日本食の夕食をいただいたこと,住田先生と京都へ小旅行したこと,鷹野先生,本田先生,向井先生と夕食をともにしたことは楽しい思い出です.最も印象に残ったのは日本の特に障害者に対する医療制度,外傷性脊髄損傷患者に対する早期リハの効果です.また日本の高い医療技術に感銘を受けました.美しい国で素晴らしい人にお会いできたことを感謝します.

氏名:Scott F. Nadler, DO(38歳)
所属:Department of PM & R, UMDNJ-NJ Medical School (米国,ニュージャージー州)
期間:2002年12月10~15日
訪問先:札幌医科大学リハビリテーション科
    千葉大学リハビリテーション部
発表演題:
1. Low back pain in athletes
2. Therapeutic Heat and Cold Modalities: New Learning

 日本に来ることになって,私は日本の医療がどのようになっているのかを知りたいと思いました.しかし実際には,日本とアメリカの医療は異なるというよりはむしろ似ていると驚きました.札幌医大で私は腰痛の治療について講義をしましたが,聴衆も同じ関心を持っていました.運動療法を犠牲にして温熱療法が過度に用いられているという批判が,アメリカでも日本でも問題になっているようです.札幌医大で私は変形性脊椎症による腰痛がある若いテニス選手を診察することができました.診察の中で彼女は腰椎の伸展で疼痛を誘発しました.残念ながら理学療法士は腰椎の伸展訓練を行っていて,これはより症状を悪化させていると思います.このような状況はアメリカでもしばしば見られます.EBMの使用は日本でもしばしば行われていますし,十分に文献をレビューした知識もアメリカで私が見たものと似ています.違いということでは,千葉大学病院を訪問した時40人以上の患者を回診する機会がありました.日本では変形性股関節症,腰椎脊柱管狭窄症,頚椎症性脊髄症が非常に多いと学んだことは価値がある経験でした.病理は私がアメリカで見たものと大きく異なっていて,回診での議論を通じて新しい価値ある情報を得ることができました.腰痛に対する牽引の使用について,日米の違いを学んだことも興味深かったと思います.牽引は日本で広く行われていますが,千葉大学で山下先生と議論したところ,この状況を変えたいと考えておられるようでした.私が日本で訪れた病院での議論を通じて良い情報交換ができたと思います.このリハ交流医プログラムでの経験は素晴らしいものでした.各病院の受け入れ責任者は丁寧で常に私を歓迎しようとしてくれて,訪問は成功だったと思います.各病院のスタッフは専門的で,患者の治療方針やケアなどについてよくコミュニケーションをしていてアメリカの医師,治療士も見習うべきだと思います.この素晴らしい経験をありがとうございました.

(訳:国際委員会 越智文雄)

日本リハビリテーション医学会◎市民公開講座

●千葉市,2002年12月7日開催 

 今回の市民公開講座は,第2回千葉県千葉リハセンター公開講座と合併して行われました.千葉リハセンター公開講座は,当センター内外当事者・関係者の情報交換,福祉機器展示等を目的として,昨年度から行っているものですが,実は,2002年9月の第1回実行委員会の会議中に期せずして,伊藤利之先生から電話で日本リハ医学会から共催の提案があり,お陰様で当初の計画に,伊藤利之先生(日本リハ医学会常任理事,横浜市総合リハセンター長)の講演「地域リハと介護保険」,リハ専門医(市川市リハ病院長永田雅章先生)によるリハ医療相談,日本介助犬アカデミーによる介助犬のデモンストレーションなどが加わり,大変賑やかなプログラムとなりました.
 公開講座当日は,あいにくの雨と寒さの影響で参加者数が心配されましたが,幸い,講演・シンポジウム会場,当センター事例発表,福祉機器展示・福祉車両展示・電動車椅子サッカーなど,各会場共に予想以上の参加者(合計約400人)を得て,実行委員一同ほっとしました.車椅子使用者にバリアフリーにするために,最寄りのJR鎌取駅や当センターに乗り入れているバス会社(ワンステップバス配車など)にもご協力いただきました.当日はNHKテレビ局,地元「千葉日報」紙などの取材もあり,参加した千葉県民・市民はもとより,多数の県民・市民の「リハ」についての理解が一段と進んだものと思われます.伊藤常任理事を始め,ご支援いただいた日本リハ医学会に深謝申し上げます.

(実行委員長 長尾竜郎)

●秋田市,2003年2月22日開催 

 脳卒中多発県の秋田県ですが,リハ体制の構築にはまだまだ時間がかかりそうです.市民講座は,そのような秋田県民にリハを知ってもらい,リハ医・リハ施設を知ってもらう,非常にいい機会でした.秋田県のリハ医が中心となって,看護師,理学療法士,作業療法士他の協力を得て市民公開講座を開催いたしました.また,手話通訳,要約筆記の方々のご協力で,聴力障害者の参加も実現いたしました.内容は市民向けに「リハって何?」的トーンで構成し,3つの講演と各職種参加のパネルディスカッションを行いました.市民公開講座には一般市民の方の関心も高く,雪の中多くの一般市民の方が参加し,クエスチョンコーナーで10以上の質問もでてきました.全県の病院,市町村役場などに1,000枚のポスターを掲示し,新聞に15,000枚のチラシを折り込み,新聞,テレビ,ラジオ,タウン情報誌,有線放送などのメディアを使って宣伝したことが良かったかなと思っています.

(実行委員長 千田富義)

沖縄市,2003年3月9日開催 

 3月9日(日)に沖縄市民会館において「地域での生活を支えるリハビリテーション」をテーマに行いました. 公開講座の要旨は,教育講演を3題,「身体障害者補助犬法」の成立に関して今日的ニーズに即したテーマとして,「介助犬」について日本介助犬アカデミーの高柳友子先生とそのグループに講演と実演を紹介していただき,大変分かりやすかったと思いました.北九州市の夢設計事務所の一級建築士吉田誠治氏に,障害を持つ母娘の生活に即した工夫など具体的な事例を通して住宅設計について講演していただき,日常生活のちょっとした気遣いの大切さとバリアフリーについて述べられ,住宅改修等を考える場合においても示唆に富む内容でありました.また,早期リハの重要性を全国的に展開された草分けでもあり,Hirschbergを日本に紹介された三好正堂先生に脳卒中を中心に広くリハ医療について教えていただきました.手すりと階段があれば高齢者や障害者のリハが十分にどこでもできることが医療・福祉関係者や一般の方に啓蒙されたようです.
 展示のコーナーでは,可能な限り,見て触れることができるような企画として,義肢装具士による補装具や福祉機器の展示と説明,県作業療法士協会のスタッフによる自助具の紹介や相談窓口,ダイハツ自動車の協力で福祉車両の展示を行いました.一般の方には直接触れる機会がないので大変好評でした.次の同様の機会にも是非企画する必要を感じました.  今回の開催に際して,沖縄県はじめ多く県内関係団体・マスコミ関係の後援・共催協力をいただきました.  市民の健康で豊かな社会にリハ医学・医療が寄与することを願って,今後も地域の方々のリハの理解と啓蒙に努めて参りたいと思っています.
 最後に,沖縄県において,このような機会を企画され全面的にご支援いただきました日本リハ医学会に感謝します.今後ともこれらの活動を沖縄県地域リハ支援事業にも引き継いで活かして参りたいと思っています.

(実行委員長 今村義典)

広報委員会より

 デフレ経済の中,構造改革の波が押し寄せ,先が見えない昨今の日本です.そんな時代にあって,絶好調の阪神タイガースは100勝ペースで首位を独走し,松井なき日本のプロ野球に活気をもたらしています.●個人的には,今の時代の波はリハ医療にとって追い風と信じていますが,タイガースのように好調に首位独走というわけにはいかないでしょう.医療保険制度をはじめとする厳しい変革の中で,何とか真価を発揮しながら,社会の中で徐々に重要度を増していくのではないでしょうか.そのようなわけで,今回は「リハ医療をとりまく保険制度の動向」を特集のテーマに取り上げました.特定機能病院に包括医療が導入され,まさに新時代到来の感があります.そのあたりの事情を含めまして,社会保険等委員会の先生方にわかりやすく解説していただきました.また,各種委員会からも最新の情報が満載です.認定制度の行方などの記事もお見逃しなきよう.是非,通読していただきまして,忌憚のないご意見をいただければ幸いです(r-news@capj.or.jp).

(道免和久)

事務局コーナー

 6年前に私が本医学会にお世話になった年(平成9年5月)の日記を繰ってみると,平成9年5月31日全社協において,総会が開催され,終了後,「リハビリテーション科」標榜認可のお祝い会,同年8月31日京都国際会議場においてIRMA Ⅷ開催,同年9月8日税務署の監査があり消費税,源泉課税が問題とされ,その後数回の実地検査を受けることとなります.●拙い文字で書かれた日記を見ていると当時のことが懐かしく思い出されますが,また,本医学会の発展が見て取れるのです.昨年,文部科学省の実地検査があり,学会の業務の運営状況,事業の内容および実施状況,会計処理,収支および資産の状況,予算および決算の状況について精査され改善を要する事項が示されました.事務処理規程,会計処理規程を整備し,また,情報公開規程は理事会の承認を得て制定したことによりさらに事務局の体制も整いました.●今後,本医学会の組織の拡大,新事業の展開が期待されますが,少ない事務局の体制ではあるが,少数精鋭で十分期待に応えられるものと信じております.最後に,本医学会を離れるにあたり,事務局の皆様,関係の先生方に御礼を申し上げるとともに本医学会のさらなる発展をお祈りする次第です.

(前次長 橋本勝眞)